コラム
自閉症の走り方の特徴とは?改善方法を解説
自閉症の子どもには、走り方に独自の特徴が見られることがあります。走るときの姿勢や動きに違和感がある場合、それは単なる癖ではなく発達特性に起因しているかもしれません。
本記事では、自閉症の子どもに見られる走り方の特徴とその背景、改善に向けた具体的な支援方法について解説します。
自閉症の走り方|5つの特徴

自閉症の走り方には次のような特徴が見られる場合があります。
・かかとを使わずつま先で跳ねるように走る
・両腕や足の動きに左右差がありバランスが不安定である
・動作がぎこちなく、全体的に身体がこわばって見える
・走るスピードが一定せず、急に加速したり減速したりする
・方向転換や段差で転びやすく、姿勢の崩れが目立つ
自閉症の子どもは走るときに体の使い方や感覚の受け取り方に特性があり、腕や足の動かし方、バランスの取り方などにズレが出やすくなります。そのため、つま先で走ったり左右の動きに差があったりと、定型発達の子どもとは異なる走り方になることがあるのです。
自閉症の走り方が特徴的な理由

自閉症の子どもは、走り方に独特の傾向が見られることがあります。姿勢が不安定だったり、腕や足の動きにズレがあったりする場合、それは一時的な癖ではなく、感覚の受け取り方や身体の使い方に関わる特性が影響しているかもしれません。
ここでは、自閉症の子どもの走り方に特徴が出る理由について、3つの観点から紹介します。
身体の感覚がつかみにくく動きにズレが生まれやすい
自閉症の子どもは自分のカラダの位置や動きを把握する力が弱いため、走るときにバランスが取りにくくなります。感覚統合と呼ばれる脳の情報処理がうまく働かないことが原因です。
例えば、腕の振りと足の動きがかみ合わず、走る姿がぎこちなく見える子どもがいます。また、自分では真っすぐ走っているつもりでも、左右に揺れたり、同じ足ばかりを強く使ったりするケースもあります。本人にとっては自然な動きでも、外から見ると不安定に見えてしまうのです。
カラダの感覚をつかむ力が育っていないと、走る動きにもズレが生まれやすくなります。運動の経験を積みながら、少しずつ感覚を育てていくサポートが必要です。
足の形や筋力の特徴が動きに現れる
足の形や筋力、関節の動きやすさといった身体の特性は、走り方に影響を与えます。自閉症の子どもは、筋肉の緊張が強い、関節が硬い、あるいは扁平足などの特徴が見られるケースが少なくありません。
例えば、アーチが十分に発達していない足では、つま先に体重がかかりやすく、結果として「つま先歩き」や「つま先走り」になります。筋力が弱い場合は、体を支える力が足りず、姿勢が崩れて転びやすくなってしまうのです。
このような身体的な違いは、見た目の走り方にもそのまま表れます。見逃されがちですが、姿勢やバランスの背景には体の構造的な要因が関係している場合があるのです。
他人の動きを見て覚える力の違いが影響することもある
自閉症の子どもは周囲の動きを見て学ぶ力が弱いため、効率的な走り方を習得しにくい傾向があります。運動スキルは模倣を通じて身につくことが多く、そのスタート地点が異なると動き方も独自のものになりやすいのです。
例えば、友だちが両腕を振って走っていてもそれを真似られず、腕を固定したまま走る子どもがいます。また、大人の走り方を真似ようとして動きが大きくなり、ぎこちなく見えるケースもあります。本人なりに学ぼうとしていても、体の動かし方がうまく連動しないことが多いのです。
模倣や学習の仕方に違いがあると、走り方にも影響が表れます。動きの背景を理解して、丁寧に運動経験を積ませることが重要です。
自閉症の走り方の改善方法

走る動作を安定させるには、まず安心して体を動かせる環境を整えることが基本です。滑りにくい床材や角のない家具を使い、安全なスペースを確保すると子どもは不安なく身体を動かすことができます。
また、靴選びも大切です。サイズが合っていない靴は指を曲げたり引きずるような動きにつながり、正しい走り方が身につきにくくなります。大きすぎる靴では足が滑って踏ん張りがきかず、小さすぎると痛みや変形のリスクが高まります。
あわせて、日常的にバランス感覚や筋力を育てる運動を取り入れることも効果的です。例えば、平均台や片足立ちでバランスを養う運動、ストレッチで柔軟性を高める取り組み、指示に従って体を動かす協調性のトレーニングなどがあります。
走るという動作は複数の運動スキルの組み合わせで成り立っているため、基礎的な身体の使い方を遊びの中で丁寧に学ばせていくことが改善につながります。
まとめ

自閉症の子どもに見られる独特な走り方は、感覚や身体の発達の違いによるものです。姿勢が不安定になる、左右の動きにズレが出る、つま先だけで走るなどの特徴は、感覚統合の課題や筋力・模倣力の発達状況と深く関係しています。改善に向けては、安全な運動環境の整備や正しい靴選び、バランス感覚や筋力を育てるトレーニングを取り入れることが重要です。
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